2013年12月09日

サトイモはなぜ「里の芋」なのか

 12月も中旬にさしかかり、街角などにも師走の慌ただしさが感じられるようになりました。新年の訪れも間近というこの時期、「ハレ」の食べ物ともいわれる冬の味覚、サトイモが市場に出回っています。
 ハレという言葉は、現代では存在感が薄れてしまいましたが、かつては、日常とは異なる特別な意味を持っていました。たとえば、神社の祭礼、正月や節供、盆、冠婚葬祭などがこれにあたり、そういった日を「晴れの日」と呼んでいました。晴れ着や晴れ姿、晴れ舞台などの言葉はその名残です。
 そのハレの日に欠かせない食べ物として、サトイモは古くから重要な役を負っていました。月見の宴の儀礼食や、正月の雑煮などに使われるだけでなく、正月でも餅を食べないという「餅なし正月」の習俗が伝わる地域では、餅の代わりとして食べられます。
 また、正月の歳神(としがみ)や神棚にサトイモを供える地域も数多くありますが、こうしたことが「ハレ」の食べ物といわれる由縁です。
 サトイモの原産地は明確でなく、インド説、インドとマレーシア説、インドネシア説などさまざま。日本へ渡来した時期も定かではありませんが、イネよりも早い縄文時代中期と推測されています。ちなみに、イネの渡来は縄文晩期といわれています。
 そんなことから、サトイモはダイコンやマメ類とともに、日本最古の野菜といわれているのだそうです。
 古来、先人たちのいうイモとはヤマイモを意味していました。つまり、イモと言えばそのままヤマイモをさしていたのです。しかし、これでは何かと不都合。というわけで、奈良時代には、ヤマイモとサトイモを区別するため、サトイモのことを「家つウモ(イヘツウモ)」と呼んでいました。ウモというのは、奈良時代でのイモの呼称です。
 サトイモと呼ばれるようになるのはずっと後の世、室町時代末期からと推測されています。「山のイモ」であるヤマイモに対し、「里のイモ」、サトイモとなったことは言うまでもありません。
 現在、主な産地は、全国生産量のおよそ4割を占める千葉県を筆頭に、埼玉、栃木、宮崎の各県の順に続きます。

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2013年10月29日

ゴボウは栄養価が低くてもヘルシーで有用な食材

 収穫の秋、実りの秋となると、たくさんの食材が食卓に彩りを添えます。リンゴのような派手さはなくて地味ですが、ゴボウも秋が旬の食材です。食べごろは秋の半ばから冬のはじめにかけての時期で、12月いっぱいくらいまで、旬の味覚を楽しめます。
 日本には野生種はなく、縄文時代に中国から渡来したものが平安時代から食用とされ、江戸時代に全国へ普及したようです。
 主な産地は茨城、千葉、埼玉などの各県。主な品種を簡単に紹介しましょう。
 ゴボウは根の形で、長いものと短いものに分けられますが、長いものの代表格といえるのが「滝野川ゴボウ」。起源は元禄時代で、江戸滝野川の特産です。根はおよそ1メートルと長く、緻密で軟らかい肉質は「す」が入りにくく、優れた品種です。
 「梅田ゴボウ」も根が長い品種。肉質は軟らかく、味も香りもよいゴボウですが、埼玉県などでわずかに生産されているだけです。
 太い品種の「堀川ゴボウ」は京都特産で、直径が10センチにもなります。重さは1キロ程度です。
 「大浦ゴボウ」も直径10センチほどになる種類で、千葉県成田市の特産。肉質が軟らかく、太く短い根には空洞ができます。この空洞に詰め物をする料理もあり、空洞も立派な役に立っています。
 ゴボウにはビタミン類が少なく、栄養価という点ではあまり期待できませんが、ミネラル類や食物繊維が多く、それが健康増進に効果をあらわすといわれています。ゴボウに含まれるカリウムは血圧が上がるのを抑え、鉄は貧血予防に効果があります。マグネシウムは骨の生成を助け、亜鉛は味覚や嗅覚の働きをよくします。
 また、食物繊維は腸の働きを活発にし、腸内の善玉菌を増やします。その結果、便通がよくなり、コレステロールや中性脂肪、余分な糖分などが体外へ排泄されます。こうしたことが、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病、大腸癌などの予防に役立つというわけです。
 ところで、ゴボウを食べる食習慣があるのは日本だけなのだそうです。生活習慣病予防に効果があるといわれるヘルシーな食材なのに、もったいない話です。

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2013年05月30日

キャベツは日本の食文化にマッチして明治以降全国に普及

 甘藍(かんらん)という名前の野菜を知っていますか、と言われても、知らないと答える人が多いかもしれません。キャベツのことです。キャベツは玉のように丸くなることから、玉菜(たまな)とも呼ばれます。葉の味もさることながら、名前にも味わいがあるような気がします。
 さて、キャベツは収穫時期の違いにより、春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツに分けられますが、今頃の時期からは、新鮮な夏秋キャベツが出回ります。キャベツはほとんど一年中出回っていますが、もっとも需要が多いのが夏、つまり夏秋キャベツなのです。
 夏秋キャベツの主な生産地は、群馬県嬬恋村や、長野県八ヶ岳山麓の地域で、群馬県と長野県だけで、全国生産量の半分以上を占めています。ちなみに春キャベツは、千葉、神奈川、愛知、兵庫など。冬キャベツは愛知、千葉、神奈川などが主な産地です。
 人類は古くから、キャベツの原種である野生種を食べていました。この野生種は地中海や大西洋の沿岸に自生していたもので、非結球性のため、球状ではありませんでした。この野生種を栽培するようになったのは、地中海に侵入したケルト人で、紀元前6世紀頃といわれています。
 これを結球性に改良したのはずっと後、8世紀の終わり頃と推定され、その原産地はヨーロッパ南部の地方でした。13世紀に入ると、イギリスやフランス、ドイツ、オランダなどでさらに品種改良され、盛んに栽培されるようになりました。
 日本にキャベツが伝わったのは18世紀の初め、江戸時代で、オランダ人によって長崎へ入ってきたのが最初です。つまり、これが日本のキャベツの元祖というわけです。このときのキャベツは、完全な球状にならない半結球性のものだったようです。
 日本で結球性のキャベツが栽培されるようになるのは、1855年、江戸時代の安政2年頃といわれています。
 キャベツの生育には気温が大きく関係するものの、栽培自体は比較的容易なうえ、日本人の嗜好や食文化にもマッチしたことなどから、全国各地へ普及していきましたが、それは明治以降のことでした。


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2013年05月10日

ピーマンは栄養豊富でがん予防にもチカラを発揮

 ピーマンの出荷時期は、産地や品種によって異なりますが、だいたい4月から6月頃が中心。主な産地は、ひとつの県で全国の生産高の半分を占めるという茨城県を筆頭に、宮崎、岩手、高知の各県と続きます。
 ピーマンは唐辛子の仲間で、辛くない唐辛子の変種です。ちなみに英語では、甘い唐辛子という意味のスイートペッパーやグリーンペッパーなどと呼ばれています。
 ピーマンの原産地は南アメリカのアマゾン川流域で、ラテンアメリカでは2000年前頃から栽培されていました。大航海時代の始まりである15世紀末には、コロンブスなど、スペインやポルトガルなどの探検家により、ヨーロッパへ持ち込まれました。
 日本へは明治時代初期、イスパニアという品種がアメリカから伝わり、第二次大戦後には積極的に品種改良が行われるなど、急速に全国へと普及していきました。
 品種が多く、たとえば色にしても、緑のほか、赤、オレンジ、黒、黄、白などがあり、形も丸いものや四角張ったもの、長めのもの、唐辛子と同じようなかっこうの細長いものなどさまざま。この多種多様さは、野菜としてはトップクラスといえます。
 ピーマンには、ビタミンA・C・Eなどが多く含まれています。これらの成分には抗酸化作用があり、健康を阻害する活性酸素から体を守ってくれるといわれています。また、アメリカでは、がん予防に効果のある野菜として上位にランクされています。
 ところで、緑ピーマンはまだ熟しきっていないもので、それが熟して赤ピーマンになります。したがって赤のほうが栄養価が高く、前述のビタミンA・C・Eなどは、緑の2倍から3倍も含まれているそうです。


ラベル:唐辛子
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2013年03月13日

栄養豊富で意外な効果もあるミツバ

 3月も半ばとなり、街角や山野で草木の芽吹きが見られるようになりました。冬から春にかけての時期が旬のミツバも、爽やかな春の香りを漂わせています。
 ミツバはセリ科の多年草で、日本全土をはじめ、中国や北アメリカなどにも分布します。原産地は日本で、もとは山野に自生する山菜でした。栽培されるようになったのは江戸時代中期からと言われています。
 日本を原産地とする野菜はきわめて少なく、十種類にも満たないそうですから、ミツバは希少な「日本原産野菜」と言えそうです。
 ミツバの種類は三つに分けられます。
 ひとつは、「青ミツバ」の別名をもつ「糸ミツバ」。露地や水耕で栽培し、細くやわらかく育てます。市場には一年中出回りますが、一年のうちでも特に3月ごろ出荷量が多くなります。栄養価が高くて香りが強いのが特徴です。
 「切りミツバ」は、促成軟化栽培をして根を切り取ったもの。畑で栽培した根を、暗くて湿度の高い温床に移して育てた後、葉だけが緑になるように光を当てます。そのため、食感がやわらかで、香りはやや控えめです。おいしい時期は冬です。
 「根ミツバ」は、冬に葉が枯れた後、根本に土寄せをし、翌年の春、地上に新たな葉先が出たら掘り出します。根は付けたままです。しゃきっとした歯応えが特徴で、旬は春です。
 種類によって差はありますが、ほぼ全体的に栄養価が高く、カロテンのほか、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラルや、ビタミンC、E、Kなども多く含んでいます。
 ミツバはお浸しや天ぷらなどのほか、薬味としてもよく利用されます。香りには、意外にも精神を落ちつかせたり食欲を増進させたりする効果があるので、食事を楽しむにはうってつけの食材です。
 糸ミツバの県別取扱高は千葉県がトップで、千葉県だけで全国取扱高の半分以上を占めています。以下、静岡、埼玉、茨城などの各県が続きます。この四つの県を合計すると、わずか数パーセントをほかの地域に譲るだけで、全国取扱高のほとんどを占めてしまうのだそうです。


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