さて、めでたい縁起物の一つに達磨があります。中でも少林山の福達磨は有名で、全国でも圧倒的なシェアを誇っています。七転八起の根性は「起きあがり達磨」の天分。商売繁盛、招福開運の縁起を担ぎ、間もなく各地で開かれる達磨市は、福を求める大勢の人たちで賑わいます。
かつて、養蚕が盛んな関東地方では、蚕の順調な上簇を願い、その縁起を目無し達磨に求めていました。上簇とは、蚕が成熟し、繭を作るための簇という用具に入ること、あるいは入れることをいいます。この習俗は現在でも名残があり、達磨とのつながりが深いことを物語っています。
達磨の起こりは室町時代で、基となったのは、上方地方で作られた起きあがり小法師でした。それが16世紀前半の享保年間に江戸へ伝わり、張り子の起きあがり達磨が誕生したと考えられています。
これがブームとなり、二匹目の泥鰌を狙ったのかどうか、七福神の起きあがり玩具なども登場しましたが、達磨の人気には勝てず、達磨の独壇場となりました。さらには、「起きあがり」という言葉が、張り子達磨の代名詞となるまでに定着し、以後、座禅姿の達磨大師のごとく、まさに「不動」の地位を築いたというわけです。
ところで、達磨のモデル、達磨大師は、南インドのバラモンに生まれ、お経を訳す般若多羅という僧に学んだ後、中国に渡って禅宗の始祖となった高僧です。面壁九年といわれる禅を組んだのは崇山の少林寺です。面壁九年は、「忍耐強く、一つの事を成し遂げる」という意味の故事です。
高崎だるま 福だるま5号 赤