現在は栃木県が特産地で、栃木県だけで全国生産量の9割を占めています。このきっかけを作ったのは、現在の滋賀県にあたる近江の、水口藩の藩主、鳥居忠英といわれています。1712年、鳥居忠英が下野の壬生藩に転封になった際、近江の名物だった「水口かんぴょう」を持ち込み、奉行の松本茂右衛門に栽培させたのだそうです。
転封とは、大名の領地を他の土地へ移し替えることで、現代風に言えば転勤のようなものです。滋賀県の名物だったカンピョウが栃木県で大ブレイク。本場をしのいで日本一になろうとは、鳥居忠英は夢にも思わなかったに違いありません。
カンピョウは花が終わってから30日ほどで果実が成熟します。これを、果肉が堅くならないうちに収穫し、ちょうどリンゴの皮をむくような感じで、幅3センチ、厚さ3ミリほどの長い帯状に削ります。昔は包丁による手作業でしたが、大正時代には干瓢鉋が登場し、さらに現在は丸剥ぎ機によって機械化されました。削られたカンピョウは天日干し、または火力で乾燥させてできあがりとなります。
カンピョウには、一般的なマルユウガオと、サンドバッグのような形をしたナガユウガオがあります。通り名はカンピョウでも、学名はユウガオなのでこう呼ぶことになりますが、味がいいのはマルユウガオのほうで、当然のことながら、マルユウガオのほうが圧倒的に多く栽培されています。
カンピョウの中身をくり抜いて乾燥させ、炭入れや煙草盆、火鉢、花器、工芸品や玩具などに利用されることもありますが、これは種取り用に完熟させて硬くしたもので、食用と両立させることはできません。
ラベル:ユウガオ
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