2013年11月30日

白鳥と「白鳥の湖」

 冬の渡り鳥の、日本への飛来盛んになるころになりました。日本のおもな冬鳥には、雁や鴨、鶫(つぐみ)、真鶴、白鳥などがいますが、なかでも白鳥は、飛来の話題が毎年報じられるなど、冬鳥としての知名度ではトップクラスではないでしょうか。
 白鳥は世界に7種が生息していますが、日本へ飛来するのは大白鳥と小白鳥の2種だけです。皇居の濠(ほり)や公園などで見かける白鳥は、ドイツから輸入されて繁殖した瘤白鳥(こぶはくちょう)と呼ばれる種で、渡り鳥ではありません。このほかに、鳴白鳥(なきはくちょう)、黒襟白鳥(くろえりはくちょう)、アメリカ白鳥、そして、文字通り異色の存在とも言える黒い白鳥、「黒鳥(こくちょう)」の4種がいます。
 白鳥が登場する有名な古典バレエに、「白鳥の湖」があります。台本はベギチェフとゲルツェルの2人によって書かれ、これをもとにチャイコフスキーが作曲したものです。
 4幕からなるこのバレエのストーリーは、およそ次のようなものです。オデットという名の王女が、魔法使いのロットバルトによって白鳥に変えられてしまいます。人間の姿に戻れるのは夜の間だけ。そこへ登場するのが、オデットに恋をしたジークフリートという王子で、彼は熱い愛情によって魔法を解き、めでたく王女と結ばれるいうものです。
 このバレエは、振付師ライジンガーの振付けにより、モスクワのボリショイ劇場で初演されましたが、興行は失敗でした。ところが、それからおよそ20年後、1895年に、ペテルベルグ、現在のレニングラードのマリンスキー劇場で、プチパとイワノフの師弟コンビによる振付けで改訂版を上演したところ、大成功をおさめたのです。
 その後も振付けや演出が何度か改訂されながら上演が続けられ、次第に人気が定着していきました。改訂の際には物語の結末が変更されたこともあり、王女と王子が悪魔を討ち果たして結婚するものや、2人の死によって結ばれるものなど、いくつものパターンがあります。
 ところで、このバレエには黒鳥も登場しますが、白鳥が王女オデット役であるのに対し、気の毒なことに黒鳥は、王子を誘惑する悪役、魔法使いの娘オディール役になっています。

ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」(全幕)(DVD)

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2013年11月28日

11月28日は太平洋記念日

 いまから493年前、ポルトガルの探検家マゼランが、南米大陸南端とフエゴ島との間の海峡を通過しました。この海峡は、後にマゼラン海峡と命名されます。航海の難所といわれるマゼラン海峡を通過した彼は、ある大きな海に出ます。太平洋です。その日が、1520年11月28日で、現在、この日は太平洋記念日となっています。
 ただし、当時は太平洋という名前ではなく、「South Sea」、「南海(なんかい)」と呼ばれていました。名づけたのはスペインの探検家バルボアで、マゼランよりおよそ7年早い発見でしたが、バルボアはある山岳地帯の山の上から眺望しただけで、マゼランのように、実際に航海したわけではありません。
 その南海に出たマゼランは、その後、南太平洋を横断し、フィリピン諸島のセブ島に着きました。この間、彼の艦隊は食料や飲料水の欠乏、壊血病などに悩まされながらの、98日間におよぶ大変な航海でしたが、幸い天候には恵まれ、大きな時化(しけ)に遭うことなどもありませんでした。マゼランはこのことから、平和な大海という意味の「Pacific Ocean」と、新たに命名したのでした。
 日本語の「太平洋」は、ヨーロッパの地図の地名を中国語に訳したものが伝わってきたもので、訳した当初は「寧海(ねいかい)」と呼ばれていました。それが清(しん)の時代の初めに「太平海(たいへいかい)」となり、最終的に太平洋となりますが、日本で太平洋の名前が定着するのは1800年代半ば、維新前後のようです。
 太平洋は、大西洋、インド洋とともに数えられる三大洋のひとつで、世界最大の海です。面積は1億8134万4000平方キロメートル。さっぱりわかりませんが、少しでもわかりやすく言い換えると、地球の総面積の35パーセント、すべての海の面積の50パーセントとなります。
 やはりこれもぴんときませんが、体積は7億755万5000立方キロメートル、平均の深さは4282メートルで、マリアナ海溝や伊豆・小笠原海溝ほか、1万メートルを超える場所も数か所あるそうです。

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posted by プッチン at 07:18| 記念日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月26日

食用として有用なウツボもいる

 秋と冬は旬の魚が多い季節ですが、ちょうど今頃から翌年3月頃までが旬の、少々個性的なルックスの魚がいます。ウツボです。
 ウツボの肉は、一般的な食用魚に比べて硬く、しかも、小骨が多いとあって食用にはあまり向いていないようですが、南房総、九州、高知、和歌山など、地域によっては立派な食材として活躍しています。
 食用とされるのは、ウツボやトラウツボ、コケウツボ、ユリウツボなど。種類や地域によって利用方法が異なるようですが、たたきや蒲焼き、揚げ物、煮物、鍋物などのほか、干物や佃煮などとしても利用されます。
 また、皮は財布などの皮革製品に利用されます。ちなみにウツボ漁は、ウツボ籠とも呼ばれる網籠や延縄で行われます。
 ウツボは熱帯から亜熱帯にかけての地域に分布し、世界でおよそ200種、日本近海でおよそ50種が知られています。日本では関東以南の海域に分布し、ほとんどのものが浅い海域の岩礁や珊瑚礁などに生息していますが、なかには、水深500メートルほどの海底に棲む種もあります。
 多くの種は体長1メートルほどですが、小さいものでは30センチ、大きいものでは3メートルと、かなり幅があります。体型がウナギに似ていますが、それもそのはず、学問上ではウナギ目に属し、ウツボ科ウツボ属という身分に分類されています。
 あの顔つきからも想像できるように、性格は極めて獰猛。夜行性で、夜になると狩りに出かけ、エビやカニ、小魚などを漁ります。タコもウツボの好物のひとつですが、ときには大きなタコに出くわして立場が逆転し、絞め殺されることもあるそうです。
 まれにそういう番狂わせがあるものの、本来、ウツボはタコの天敵。その生態を利用し、養殖のイセエビをタコから守ろうと、養殖用の人工岩礁にウツボを飼うアイデアが出されたこともあるそうです。そのアイデアがどうなったかわかりませんが、実用化されたとしたら、ウツボにとってもタコにとっても、災難となったことでしょう。

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2013年11月25日

さまざまな分野で大きな功績を残したカーネギー

 今から178年前、1835年11月25日、後に「鉄鋼王」の異名をとるアメリカの実業家、アンドルー・カーネギーが誕生しました。
 ただし、生まれた場所はアメリカではなく、スコットランドのダンファームリン地方でした。貧しい職人の家で産声をあげ、彼が13歳だった1848年、一家でアメリカのペンシルベニア州へ渡りました。
 彼は苦学しながら、織物工場の糸巻夫、機関夫、電報配達夫、電信技手などを経て、ペンシルベニア鉄道へ就職しました。ここでは管理職にまで昇進しましたが、鉄道経営よりも、鉄道建設用資材の生産や供給の事業に魅力を感じ、製鉄業に乗り出しました。
 主に鉄製のレールを生産していましたが、次第に「これからは鋼鉄の時代だ」と確信し、1970年代には製鋼所を建設しました。
 80年代にはいくつかのライバル企業を支配下におき、90年代には、鉱床や炭鉱、船舶、鉄道などの企業を買収。
 そして99年、これらの事業を統合し、カーネギー製鋼所として組織変更しました。これによって、原料の生産から完成品まで、一貫して生産する体制を築きあげたのでした。
 しかしその後、企業間に生じた軋轢や社会情勢の変化によって苦境に立たされ、1901年に企業を売却、実業界から退きました。
 その後は、「富は神より委託されたもの」という信念に基づき、慈善事業に尽力しました。多額の資金を惜しみなく投じ、教育や研究のために、いくつもの財団や基金を設立していきました。ごく一部をあげてみると、カーネギー工科大学、カーネギー協会、カーネギー教育振興財団、カーネギー財団、カーネギーホールなどがあります。
 カーネギーホールは、世界の音楽家の檜舞台となった演奏会場で、1981年に、ニューヨークに建設されました。建設時は、単にミュージックホールと呼ばれていましたが、1898年にカーネギーが出資して改築し、それを機にカーネギーホールという名称に改められました。
 さまざまな分野で大きな功績を残したカーネギーは、1919年、マサチューセッツ州レノックスで、83年余の生涯を閉じました。



ラベル:鉄鋼王
posted by プッチン at 10:09| 人物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月24日

大根は生産量の6割が料理用で4割が加工用

 秋から冬にかけてのこの時期、冬野菜の白菜やほうれん草、漬物用初冬どり大根などの収穫が各地で盛んに行われています。
 話は大根ですが、ポピュラーな野菜として揺ゆるがぬ地位を築いた大根、全生産量の6割が料理用、4割が漬物などの加工用として消費されます。大根の漬物としては、沢庵禅師の考案によるヒット作、沢庵漬けが代表的で、江戸時代前期からのロングセラーです。
 市販の沢庵漬けの中には干さない大根を使っているものもありますが、本来は干した大根を使います。太陽の恵みと米糠のエキスが相乗効果をあらわし、体に有益な成分を生み出すそうです。
 これまでに日本で栽培された大根の種類は120種類にものぼります。日本で栽培される野菜の中ではもっとも作付面積が多く、その点では全野菜の1割を超えるほどの多さです。生でよし煮てよし、漬けてよし干してよしと、料理の種類も調理の方法もバラエティに富んだ、大根の優秀さを裏付ける事実のひとつかも知れません。
 品種が多い大根の中で、大きいことで知られる桜島大根は、丸型の品種としては日本一どころか世界一で、その重さは20キロ以上にもなるそうです。
 また、長さでは守口大根がトップで、1.5メートルにもなります。ただし、太さはわずか3センチ程度です。
 ところで、大根にはジアスターゼという、消化を助ける成分や繊維質が豊富に含まれているため、胃や腸の健康に大変有益です。また、葉にはカルシウムやカロチン、ビタミンB2などが大量に含まれていますから、捨てないで食べるようにしましょう。
 大根役者という言葉がありますが、本物の大根のほうは、料理の種類や調理方法の多彩さといい、健康への貢献度といい、一流の役者と言えるのではないでしょうか。

ダイコンおろし皿

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posted by プッチン at 08:50| 食品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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