ユースホステルは、青少年の旅行や野外活動を支援するための国際的な宿泊施設です。宿泊の基調となっているのはホスピタリティ(親切心)で、奉仕と友愛の精神です。青少年が自力で旅行しながら、心身の育成や知識の充実などをはかり、共同生活を通じて、規律ある習慣を体得するための宿泊施設です。
20世紀初め、その宿泊施設を創る運動が起きました。この運動はやがてヨーロッパ各国から世界に広がり、1934年には国際ユースホステル連盟が設立されました。現在50か国以上で、ユースホステルが利用されています。ちなみに日本では、1951年、昭和26年に日本ユースホステル協会が結成され、1954年には国際ユースホステル連盟に加盟しました。
この、ユースホステルを創る運動を最初に提唱したのが、ドイツのリヒアルト・シルマンという人物です。
小学校の教師だったシルマンが、あるとき生徒を引率して遠足に出かけました。ところが、予期せぬ大雨に見舞われてしまいました。シルマンは、たまたま近くにあった小学校で雨宿りをしましたが、雨足はいっこうに衰えず、結局、一晩中その小学校で足止めをくってしまいました。これが1909年8月26日のことで、この日は後にシルマン・デーになりました。
その後シルマンは、遠足での雨宿りの経験から、旅行中の青少年が不測の事態に遭遇したとき、緊急に駆け込んで安心して泊まれる施設があるといい、と考えました。その根本には、経済力の弱い青少年の負担が軽くすむよう、利用料金を低く抑えるという気遣いが息づいています。
日本では、公営・私営を含め、全国各地におよそ500施設が建設されています。